「海老沢泰久展~直木賞作家の横顔~」@真壁伝承館歴史資料館

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真壁伝承館歴史資料館 現在、真壁伝承館歴史資料館(桜川市真壁町真壁198番地)では、第5回企画展「海老沢泰久展~直木賞作家の横顔~」が開催されています(入場無料)。

 直木賞作家である海老沢泰久氏は、本学卒業生(昭47卒・80期文)であるとともに本学教員としても活躍され、平成21年に59歳という若さで他界しました。本企画展は、亡くなられて5年という節目を迎え、海老沢氏の生まれ育った地である、桜川市で行われています。すでに海老沢氏のファンや地元の方をはじめとし、小学校・中学校・高校・大学の先輩後輩、著作にちなみ、F1ファンの方も来場しているとのことです。

  企画展は、「 直木賞作家の横顔」という副題にもあるように、海老沢泰久氏の作家としての顔だけでなく、一個人としての一面を感じてほしいという企画者の思いが込められています。 展示品には、本学図書館所蔵の資料や、海老沢氏の妻・順子さんや、実兄・忠久さん、学生時代の恩師のインタビューがあり、海老沢氏を様々な角度から感じられることが、本企画の見所でもあります。開催に伴い、本学図書館から、以下の資料を貸し出しています。

 

①    直木賞受賞作・正賞

直木賞受賞作「帰郷」

  海老沢氏は平成6年に短編集『帰郷』で第111回直木賞を受賞。その正賞として贈られた懐中時計が展示されています。また、その背後に飾られている受賞の際の写真も本学提供のもの。他の受賞者はどこか緊張した面持ちである一方で、海老沢氏の余裕の表情も、性格を現しているといいます。他にも、ゴルフを楽しむ海老沢氏の写真なども展示されており、作品からは感じられない素の姿を垣間見ることができます。

 

 

 ②    新田次郎文学賞受賞作・楯・正賞

  昭和63年『F1地上の夢』が新田次郎文学賞を受賞。その正賞として贈呈された気圧計が展示されています。①と共に、海老沢氏の作家としての業績を示す展示品です。

 

 

 

 

 

 

③    著者訂正本

  海老沢氏は、推敲する際には、本に直接記入していたといいます。こちらの海老沢氏初の歴史小説「青い空」です。本学で折口信夫の学問に触れたことが、本著の執筆につながったといわれています。

 

 

 

④    卒業論文

海老沢泰久氏・卒業論文

 海老沢氏の卒業論文です。題名は『日本文学本質論』で、三島由紀夫をテーマとしています。当時は卒業論文を万年筆で書くという決まりがあったそうです。執筆活動の根底ともなる海老沢氏自身の考えに触れられる貴重な資料だといいます。実兄・海老沢忠久さんはインタビューで、海老沢氏の本学への進学理由を「作家になりたいという気持ちが強かったため、国文学に強い國學院を選らんだ」と振り返っています。海老沢氏は高校生の頃から小説家になりたいという意思が明確であり、自らの意思に基づいて進路選択を行っていた様子が伺えます。

 

 

 

⑤    辞令

本学での辞令

  本学文学部を卒業後、海老沢氏は折口博士記念古代研究所に勤めつつ、本格的に執筆活動に取り組みはじめました。この勤務を通し、研究に触れていたことが、「青い空」などの歴史小説の執筆など、晩年の作品のルーツともいえます。

 

 

 

 

 

 

 

 以上の本学貸し出し資料の他にも、愛用されていた万年筆、執筆に用いた参考資料、趣味であったゴルフクラブ、スコアブックなど、多数の資料が展示されています。資料を通し、作家を志し、本学へ進学、作家として大成した軌跡をたどる中で、強い意志やこだわりを持つ一面、几帳面な一面、ユーモアのある一面など、作品からは見えてこない、さまざまな海老沢氏の人間性を感じることができます。ぜひ海老沢氏のファンはもちろんのこと、海老沢氏の著作を読んだことがない方、本学学生や院友の方など、さまざまな方に来ていただけたらと思います。

 開催は、9月28日(日)までです。また同図書館では、海老沢泰久氏のコーナーが設けられており、関連イベントとして読書「海老沢泰久氏の直木賞受賞作『帰郷』を読む」が8月2日(土)午後2時から真壁伝承真壁図書館で行われます。詳細は、桜川市教育委員会文化財課(0296-55-1111)まで。

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